高野辰之  「人形を迎へる歌」

長野県野沢温泉村

漬物の「野沢菜」で知られる野沢温泉村。長野県北部の豪雪地帯であり、豊かな湯量を誇る
温泉町として知られている。また、スキー場としても人気が高い。
高野辰之は、野沢温泉村の西南、豊田町出身の国文学者。東京音楽学校教授。
「ふるさと、」「朧月夜」は、日本人なら知らない人はいない国民的な歌である。

豊田町、隣接する飯山市、野沢温泉村には、高野辰之の詩碑がいくつか建てられているが、これは、
野沢温泉村の「おぼろ月夜の館」の庭園内にある。人形の銅像の下に小さくはめ込まれた銅板の碑で、
辰之のやさしい仮名文字が美しい。

1927年(昭和2年)、日米親善のために、アメリカから日本の子供たちに、12,739体の人形が贈られ、
全国の小学校、幼稚園に配られた。その返礼として、日本からも58体の市松人形が贈られたという。
残念なことに、第二次世界大戦時、敵国の物として、多くは廃棄されたが、中にはひそかに隠し守った学校
もあり、現在でも、何体かの人形が残されている。


     おぼろ月夜の館
 野沢温泉村

   


人形を迎える歌
海のあちらの友だちの まことの心のこもってる
かはいい/\人形さん あなたをみんなで迎へます。
波をはる/\渡り来て ここ迄おいでの人形さん
さびしいやうにはいたしません お国につもりでいらつしゃい。
顔も心もおんなしに やさしいあなたを誰がまあ
ほんとの妹と弟とおもはぬものがありませう。
右作者 高野辰之書


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