与謝蕪村 「不二ひとつ埋みのこして若葉哉」

下諏訪町の水月公園は、諏訪湖を見下ろす小高い丘になっていて、石碑の公園とでも言おうか、
多数の文学碑が集まっていて、拓本愛好家には嬉しいところである。
30数基ある碑のうち、これが一番小さいのでは、と思うのが、蕪村のこの句碑で、扇面を縦
にして、その中に2行に書いた珍しいもの。
蕪村は、俳人であると同時に、南画の画家としてすぐた才能のもち主であった。書にもすぐれ、
画と書とのみごとな調和をみせた「奥の細道」の屏風(巻物もある)は、多くの人々が目にして
いるところである。この碑の字は小さいうえに、「不」の字と、「の」の字の部分に傷があるので
残念ながら、蕪村の豊かな才能を伝えるには物足りない。
それにしても、芭蕉の句碑は沢山あるのに、蕪村の句碑は何故か少ない。蕪村ファンとしては、
寂しい限りである。

拓本の採り方を知らない人が碑面に墨をつけたようです。
こうなってしまうと、タワシでごしごしやってもきれいに
なりません。文学碑は、大切な文化財です。


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不二ひとつ埋み
のこして若葉哉
       蕪村

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長野県下諏訪町水月公園