北信濃は雪深いところ。遅い春がやってくると、高山村は「しだれ桜の里」としてにわかに多くの観光客が
やってくる。樹齢200年以上の桜の古木が20本ほど、その大きさと美しさを競っている。秋は紅葉の美しい
松川渓谷、そしてなんといっても、ここは温泉の村である。山田温泉、子安温泉、五色温泉、七味温泉、
奥山田温泉と並んでいる。山田温泉の「風景館」という老舗旅館の敷地に、この会津八一の歌碑がある。
会津八一は、明治18年、新潟県に生まれ、秋艸道人と号した。早稲田大学文学部を出て、歌人として、
ひらがなで表記する独自の作風をつくりあげた。また美術史の研究によって、早稲田大学教授となり、
書家としても名を成した。
この歌は、八一が大正10年、山田温泉風景館を訪れた時に詠んだもの。自然な散らし書きで、仮名書の
美しさがきわだっている。

会津八一(秋艸道人) 
       [かぎりなきみそらのはてをゆくくもの
       いかにかなしきこころなるらん」


文学碑・目次に戻る
ホーム

長野県 上高井郡 高山村 山田温泉

せるころしなののくににてよめるうた
かぎりなきみそらのはてを
ゆくくもの
いかにかなしき
こころなるらん
秋艸道人朔