島木赤彦 「萩倉の丘の上なる双松
       いく代までにか年のへぬらむ」

長野県下諏訪町萩倉 木落し坂

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長野県の地図の真ん中は、丸く穴があいたようになっている。諏訪湖だ。いつ見ても、おへそみたいだと思う。諏訪大社は、上社本宮、上社前宮、下社春宮、下社秋宮の四社からなる。この四社が七年目に一度行なう「御柱祭」は、山から切り出した太く大きな柱をお宮まで運ぶ行事だが、その華やかさと勇壮さは日本の奇祭のひとつに数えられる。上社の見どころは、「川渡し」下社のみどころは「坂落とし」である。その坂が萩倉の坂である。柱の上に男たちが大勢乗り、勾配の急な坂を一気に下る。時には怪我人や死者まででたのに、このお祭りは続けられている。

諏訪に生まれ、諏訪に育った島木赤彦は、諏訪を愛し、諏訪湖を愛し、多くの歌を詠み、教育者としても多くの実績をのこした、諏訪の偉人である。赤彦の歌碑は長野県内に二十数基あり、いづれの歌碑も赤彦の優しい自筆が魅力だ。

萩倉の丘の上なる双松(ふたつまつ)

いく代までにか年の経ぬらむ  赤彦